みんなが知らない勤め人が辛い2つの理由

『働けど 働けどなほ 我が暮らし 楽にならざり じっと手を見る』

石川啄木(日本)

はじめに

このブログを読んでいただいている多くの方がサラリーマン(勤め人)だと思います。

こんなにも頑張っているのになぜ給料が低いままなのだろうか。

毎日必死に働いているのになぜ満たされないのだろうか。

こんな思いを抱えている人は少なくないはずです。

ここでは、この問題の原因について考えていきたいと思います。

「なぜ毎日苦しい思いをしているのか」

そのことを考えるには、自分を取り巻く環境について理解をすることが大切です。

勤め人がお金持ちになることは不可能

多くの人は生活をしていくためにお金を稼ごうと考えたときに、会社に対して自分の「労働力」という商品を売りにいきます。

労働力というのは、電話の応対ができることや決算書の作成ができることなど会社の利益につながる能力のことです。

会社は自分の利益があがると思ったときにこの「労働力」を購入します。

労働力を購入したら、どのように取り扱っていくのかを考えます。

1日に何時間くらい働いてもらうのか、休みの日はいつにするのか、給料はどのくらい渡すのかなどを決めて、契約書を作ります。

この契約書に納得してサインをすることで、勤め人は一時的に会社の所有物となります。

ここで、会社側がなぜ「労働力」を購入したのかをもう一度考えてみます。

「労働力」という商品を購入した理由は、自分の利益を上げるためです。

利益を最大限上げるためには、勤め人に渡す給料をできる限り抑えなくてはなりません

給料をあげすぎてしまうと自分の取り分が減ってしまいますし、かといって給料が低すぎると勤め人は生活を維持していくことができません。

会社としては、勤め人には明日も来月も元気に出勤してもらわなければなりません。

そう考えると、給料を決めるうえで考慮する点としては

 

元気な身体を作るための食費

会社に着ていくためのスーツなどの洋服代

家に住むための家賃

仕事で溜まったストレスを解消するための費用

 

となります。

労働力を回復して元気に出勤するために会社から支払われる費用が給料なのです。

ここで、若者の給料が低くておじさんの給料が高い理由を考えてみます。

「自分の方が仕事をしているのになぜおじさんの方が自分より給料が高いのか」

そう感じている人は少なくないと思います。

基本的に、若者はまだ結婚もしていないし子供もいないので広い家に住む必要はありません。

仕事の責任もおじさんに比べると重くないのでストレスは少ないです。

なので、労働力を回復するための費用はそこまでかかりません。

ところが、ある程度のおじさんになると、結婚して子供ができたり、仕事の責任が重くなって若者に比べてストレスが溜まりやすくなったりします。

子供がいれば習い事や学費などにお金がかかりますし、家族が増えたことによって住む家も広くなり家賃も高くなります。

ストレスも多くなるので、解消するためにお酒などの費用がかかります。

つまり、若者よりおじさんの方が労働力を回復するための費用が高いのです。

こうした理由からおじさんの給料は高くなるのです。

確かに、給料の金額だけを見れば若者よりおじさんの方が高いのですが、元気に会社に出勤するための費用を差し引くと手元に残るお金は少ないのです。

繰り返しになりますが、

勤め人というのは元気に会社に出勤するための費用しか会社からもらえないのです。

勤め人がお金持ちになれない理由はここにあります。

会社の息苦しさはどこからくるのか

ここまでは、お金の問題について考えてきました。

自分の体力を回復する分しかお金がもらえないのは仕方ないけれど、会社にいると感じる息苦しさはなんなのだろうかという問題もあります。

ここではその「空気」について考えていきたいと思います。

求人広告によくある「仕事で自己実現」や「仕事を通じて成長をする」といった仕事に対するイメージが本質的な部分を歪ませていると思っています。

勤め人が仕事を通じて自己実現をするといったことはありえません。

なぜなら、会社にいる間は「労働力」という商品を提供しているからです。

勤め人は、会社の言う通りに行動をすることが求められます。

自分で物事をコントロールできない環境に置かれているということが、会社での息苦しさにつながります。

このことをかみ砕いて具体的に言ってしまえば、

仕事とは偉い人に怒られないようにすることなのです。

偉い人に怒られないことがすべてといっても過言ではありません。

そのことに無自覚なことが会社での息苦しさに繋がっています。

例えば、明日の会議に必要な資料を作っているとします。

そのときにこんなことを考えていないでしょうか。

「○○さんは数字にうるさいからしっかりと検算をしておこう」

「〇〇専務は誤字脱字に厳しいから校正は何度もしておこう」

 

身に覚えがある人は多いのではないでしょうか。

「いくらなんでも大げさではないか」そう思う人もいると思います。

ですが。偉い人に怒られたくないがために起こった事件も過去にありました。

生徒装い「遠足中止を」と手紙 バス手配ミスのJTB中部社員

旅行会社「JTB中部」(名古屋市)多治見支店の男性社員(30)が、岐阜県立東濃高校(同県御嵩町)の遠足で使う予定だった大型バスの手配ミスを隠すため、生徒を装い自殺を示唆して遠足の中止を求める手紙を書き、学校に届けていたことが29日、学校などへの取材で分かった。同校は業務妨害容疑で、県警への被害届提出を検討しているという。

出典元

生徒装い「遠足中止を」と手紙 バス手配ミスのJTB中部社員
旅行会社「JTB中部」(名古屋市)多治見支店の男性社員(30)が、岐阜県立東濃高校(同県御嵩町)の遠足で使う予定だった大型バスの手配ミスを隠すため、生徒を装い自殺を示唆して遠足の中止を求める手紙を書

これは2014年に起きた事件です。

私にはこの隠蔽した社員の気持ちがよくわかります。

「さっさと報告すればいいのに」と思いつつもこの社員の気持ちが分かる人も多いのではないでしょうか。

ミスしたことを報告して、クライアント(学校)や上司に怒られるのが怖かったんだろうなと考えるととても辛くなります。

なんとしてでも、遠足を中止にしたかったのだと思います。

遠足が中止になればバスを発注しなかったことは問題にならないと考えたのかもしれません。

かなり怒られますが、JTBくらい大きな会社であれば、バスの手配くらいはなんとかなるはずです。

それでも、怒られらないようにすることが優先されてしまったのだと思います。

怒られないようにすることが、いかに勤め人にとって大切かがわかる事件ではないでしょうか。

会社というのは「お金を出している相手」や「自分より偉い人」に怒られないようにするのが仕事なのです。

勤め人は日々怒られないようにビクビクしながら仕事をします。

神経はかなり擦り切れるでしょう。

注意されないように真剣に作った会議資料も上司の手柄にされてしまうこともあります。

これが会社での息苦しさの原因です。

「自己実現」ができていないから辛いのではなく、「怒られたくないスパイラル」の中で過ごしているから息苦しいのです。

最後に

ここまで勤め人がなぜ辛いのかを見てきました。

勤め人が辛い理由についてまとめると

 

お金持ちになれない

怒られないように仕事をしている

 

というなんとも情けない理由となります。

この状況を打開することは不可能です。

これは個人の問題というよりも、労働力の売買が成立しているという世の中の構造上の問題だからです。

なので、なんとかすることを諦めてしまうことが一番良いのです。

ただ、最近ではコンプライアンスが厳しくなっています。

会社が何か問題を起こせばハラスメント問題などにつながってしまいますので、行き過ぎたことはできなくなりつつあります。

ハラスメント問題など不祥事が公になってしまえば、利益をあげることができなくなってしまうからです。

これはインターネットが普及して情報の可視化が進んだ恩恵でもあります。

我慢していれば、お金持ちにはなれないですが、飢え死にすることはありません。

多少の理不尽は仕方ないと目をつぶって生活のために仕事をすると割り切って暮らしてしまったほうがよいのです。